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【メディア史】アップライトピアノがレコードに負けた 1890〜1930年代 市民ミュージシャン滅亡の年 【書籍】『未来は音楽が連れてくる』より

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現在の原型となるレコードの発明は、ベルリナーのレコードの発明からだ。

新たなメディアの登場から、約30年の時を経て、既存メディアを崩壊していく図式がよくわかる図だ。

 

エミール・ベルリナーは、1885年には完全に実用に徹した「グラフォフォン」を誕生させた。その後、1887年には後のレコードプレーヤーの原型である、円盤式蓄音機「グラモフォン」を作った。そして、1895年には「グラモフォン」の製造・販売のために「ベルリーナ・グラモフォン」という会社を設立する。ベルリーナ・グラモフォンは、ビクタートーキングマシンを経てRCAレコードとなり、また、英国支店はグラモフォン・カンパニーを経てEMIへ、さらに、ドイツにおいてはドイツ・グラモフォンと、音楽業界に大きな影響を与える企業の源流となっている。

ベルリナーのレコード発明が、どれだけ、アップライトピアノの普及を邪魔したのかは明確だ。

アップライトピアノは1700年代18世紀に普及したグランドピアノを縦型にして、どこの家庭でも、楽譜さえ読めれば、ピアノを練習すれば音楽に親しめる環境を、レコードは、自分で演奏しないで、練習も楽譜が読めなくても音楽を楽しませてくれたのだ。

 

それまでの音楽は演奏会を聞き、楽譜を買い、練習して、はじめて体験して奏でるという、全員が市民ミュージシャンだった時代でもあった。

テクノロジーの発展は、市民ミュージシャンを殺してしまったとも言える。